返戻率(戻り率)の数字に惑わされるな!巧妙な保険のトリック

返戻率(戻り率)の数字に惑わされるな!巧妙な保険のトリック

返戻率(戻り率)というコトバを知っていますか?計算式は単純なので、知っている人は多いでしょうね。しかし返戻率(戻り率)の高さに目を奪われて、大切なものを見逃していませんか?

実は、返戻率(戻り率)を高く見せるテクニックがあり、多くの保険会社はそれを使っているのです。ダマされないためにも、しっかり読んで正しい知識を身につけましょう。

返戻率と書いて「へんれいりつ」と読みます。難しいコトバなので、わかりやすく戻り率「もどりりつ」と書いてあるサイトも多いでしょう。返戻率(戻り率)とは、支払ったトータルの保険金額に対して、もらえるお金の合計がどれくらいの割合なのか?を数値で表したものです。

返戻率(戻り率)の計算方法

受け取れるお金(満期保険金と、お祝い金や一時金の合計)と、払込保険料総額が同じ金額だった場合は、返戻率(戻り率)は100%になります。
受け取れるお金より多く保険料を支払った場合は、返戻率(戻り率)は100%を下回ります。これが「元本割れ」と言われる現象です。逆に支払った保険料より多くのお金を受け取ることができる場合は、返戻率(戻り率)は100%を超えます。

しかし!ここで大きな落とし穴が

返戻率(戻り率)が100%を超えている場合、払い込んだお金が増えて戻ってくるんですから、それは魅力的です。できれば110%とか120%になっちゃえば、嬉しいですよね。

しかし!ここで大きな落とし穴があるんです。多くの人がどうしても「返戻率(戻り率)」に着目するがために、保険会社も返戻率(戻り率)の高さをアピールします。嘘はついていないのですが、「普通の人にはマネできないような条件設定」で返戻率(戻り率)を算出することで、すごく高い返戻率(戻り率)をはじきだすことができるのです!

返戻率(戻り率)の計算方法に隠された秘密

その前に、返戻率(戻り率)の計算方法に隠された秘密をお教えします。
上図のように、返戻率(戻り率)は「受け取ったお金」と「支払ったお金」で決まるのですが、『出来るだけ長期間、保険会社にたくさんのお金を預けている状態』が長ければ長いほど、支払うべき保険料総額が少なくなるように、保険料金の設定がされているんです。

ほとんどの保険会社は、0歳から開始することが前提でプランを紹介しています(このサイトもそうですが・・・^^;) そうすると、満期が18歳だとすると18年間保険料を払い続けることになり、1歳から始めるのと比べて、払込保険料総額が少なくなるように設定されているからです。これはどの保険会社でも同じです。

また、保険満期が18歳でも払込期間を短縮することができる学資保険もあります。10歳までに払い込み、などです。そうすると早い段階で保険料全額払込になるので、18歳まで払い続けるより保険料総額が少なくなります。結果として、返戻率(戻り率)がアップします。

つまり、いろんな条件をつけて払込保険料総額を少なくしてあげれば、必然的に返戻率(戻り率)は高くなっていく、というワケです。

返戻率(戻り率)を最も高くする方法

返戻率(戻り率)を高くするにはどうしたらいいのか?
答えは簡単です。上で述べたように、払込保険料総額が最小になるように工夫するだけです。現実的ではありませんが、こんな条件ならもっとも少なくなります。つまり、返戻率(戻り率)が最も高くなるんです。

契約者(親) 16歳女性(若年齢ほど保険料は少なく、男性より女性の方が少なくなります)
被保険者(子) 0歳または出生前(保険期間が長いほどよい)
払込期間 一括前払い(先に全額支払うのがもっとも少なくて済みます)
保険料払込免除特則 なし(一括で払っているため、付ける必要がない)
医療特約などオプション 一切なし
お祝い金や一時金 保険満期になるまで受け取らないで繰り越す(長い間預ける)

こんな条件にしてしまえば、どんな保険会社でも110%~120%くらいの返戻率(戻り率)になってしまいます。こうやって、嘘ではないが非現実的な返戻率(戻り率)という“数字”だけを一人歩きさせている保険会社は、思っているより多いです。みんなが返戻率(戻り率)に目を向けているのを悪用しているなぁと感じます。

保険料払込免除特則は、絶対につけて下さい。これが学資保険の最大のメリットです。保険料の一括前払いは、よっぽど潤沢な資金をお持ちの方でない限り、やめた方がいいです。ご主人が絶対に死なない、高度障害にはならないと自信があるなら別ですが、返戻率(戻り率)の高さだけに目を奪われて、「お金が増えるから!」との思いだけで一括前払いすることだけは、ちょっと止めた方がいいと私は思います。

確かに高返戻率は魅力的ですが、お子さんの成長途中にもしそのお金が必要になったとき、解約する羽目になりかねません。そうなると増えるどころか減ってしまう可能性の方が高いんです。そんなリスクは取らない方がいいと思います。人生、何が起こるか分かりません。

学資保険に加入する目的の一つには、「お金を増やす」ことも含まれているでしょう。しかし、そこだけに着目しないで、医療保障の必要性だったり、教育に必要な金額はいったいいくらになるのかとか、総合的に考えてから決めてみてはいかがでしょうか。

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